2008年02月25日

<レース展開>

 内のラヴドシャンクシーと外のスワンキーポーチがやや大きく出負け。
オールフォーミー、外側のマイネウインク・ライムキャンディもスタートは安目。
大外のパッションローズは好スタートを切ったが敢えて、と言う様子で押さえ込む。
二の脚が速かったのはデヴェロッペ1頭だけ。
そのまま競る様子もなく単騎逃げにスンナリ持ち込めた。

2番手が4頭、外からラルケット・マイネブリッツ・マルターズオリジン・カレイジャスミン。
その中からラルケットがデヴェロッペを追いかけてキッチリ鈴を付けに行く。多少頭の高いフットワーク。
やや離れた6頭目にエフティマイア。
後ろの3頭は内からオールフォーミー、中リーガルアミューズ、外ライムキャンディ。
少し離れてリトルアマポーラが隊列の外へ張り出す動き。
また離れて追走を手控えたパッションローズ。その後ろに折り合いは付いているルルパンブルーとマイネウインク。
その後ろにスワンキーポーチとシャランジュ。
全体に密集する所がないまま縦にバラバラと崩れた隊列で、そこから大きく離された最後方にラヴドシャンクシー。

⇒3角に侵入し、引っ張って逃げていたデヴェロッペは前走と同じくコーナー過ぎでグッとペースを落とす。
先行勢もそれにはやし立てたりはせず、倣って膠着。
全体にまだ動く所はないが、4角で馬群が凝縮し、出口では一団になる形。
先行勢がペースを下げて、追いかける後続は前が詰まるので、4角出口で大きく外へ張り出さざるを得ない。

⇒直線残り400mでデヴェロッペが再び後続を突き離しに掛かる格好。
2番手のラルケット、その外に並んだエフティマイアも手応えはある。
全体にまだ隊列は大きく崩れず、その後ろも余力はありそう。
外から並んでくるのはライムキャンディ、大外からリトルアマポーラ。
後方追走から4角で大外に振ったシャランジュ、スワンキーポーチは先行勢との4馬身差が詰まってこない。

⇒坂上では内ラチ沿いをかなり粘り込んでいるデヴェロッペ、それに並びかけるラルケット。
エフティマイアは坂を上がって勢いが鈍った。
後ろに追い縋ってたカレイジャスミン・マルターズオリジンは脚が続かない。
外からリトルアマポーラが明らかに違う脚色で伸びてきて、その内ではライムキャンディが渋太く詰めて来る。
一つ後ろではパッションローズが一瞬だけ反応して伸びが止まり、マイネウインクは馬場の内でジリジリの状態。
馬場の外側でリトルアマポーラが完全に隊列を一変させ、その内にライムキャンディが2着を確保する伸び。
直線最後に内側のデヴェロッペとラルケット2頭の鍔迫り合いをラルケットが制した。
マイネウインクが最後に渋太く差を詰めたが、デヴェロッペには及ばず。

極端な傾向と言うほどではないが、
上位8着内には2桁着順の馬が並び、実力・人気で劣る内枠の馬は軒並み頓死。
リトルアマポーラの上がり34.4は、今日の馬場状態かつ強風の中では一枚抜けている。


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 当日は8R辺りから物凄い強風。
黄砂でも飛んできたのかというぐらいに上空が黄色く染まり、建物の前後パドック側も馬場側も、
建物の外に出ていた人はみな砂まみれと言う酷い状況。
レース中も馬場を叩く度に砂埃が舞い、それに怯んで馬込みがバラけるほど。
また直線に向くととんでもない向かい風に煽られ推進力を大きく削がれる様子。
ダートだけではなく芝もかなり時計・上がりともに掛かる決着になったのはそのため。

直線の決め手を使うべき場所でそれだけの圧を食うと、
よっぽどズバ抜けた性能でもない限りは馬込みを割って抜け出すような末脚は使えない。
力が接近した戦いでは、大抵が展開競馬になったり当日限定の隊列の有利不利が大きく関わる。

今日のクイーンCに関しては、
逃げ馬が上手いペースでかなり渋太く抵抗した様子はあったにせよ、
スタート直後からずっと馬場の悪い部分を走らされる上に砂まみれになる内枠と、
スタート直後からまだ荒れ方がマシな馬場の良い部分を走れて持続力で流れ込める外枠とでは、
結果に大きな開きがあったと言えるだろう。



 ライムキャンディは関西の新馬勝ち直後の馬。

2歳の前半期から朝日杯、そして共同通信杯辺りまでも、
3歳の関東コースなら関東勢優位などとはやし立てて来たが、
何のことはなくこれだけタフな馬場になって厳しいレースになれば、
軽いスピードで勝負している関東馬は我慢が続かず、
結局基礎鍛錬で優る関西馬のワンツーという結果に収束してしまう。

もうそろそろ関西勢の関東重賞制圧が始まるのでは…と言う予感を感じると同時に、
関東の2歳500万勝ち<関西の新馬勝ち
というレベルの差を如実に感じ、げんなりしてしまうのも毎年のことか。
少なくとも、3歳牝馬戦線では、桜花賞で勝負になる関東馬出現の望みをここで断たれたのは間違いない。
ラルケットやデヴェロッペなど、正直に競馬するしかないタイプが、関西の新馬勝ち直後の馬にやすやすと追い越されるようでは…。

ちなみに、こういった
「前走からの格上げ大幅上積みが結果にストレートに現れる」パターンが、指数が一番不得意とする分野。
間近の情報の少ない関東においてはどの専門紙もほぼノーマークに近く、情報加点もほとんど見込めないだけに、
こういう時こそパドック情報の強みを主張したい。



 例年、クイーンC開催時期は天候が不安定で、ズブズブの重から絶好の高速馬場まで、
年度別に比較してみると振り幅が大きすぎて縦の評価がしづらいレース。
今年は強風の影響で、ラップ全体に0.1〜0.2ほど均等に影響が掛かったという感。

■2008年クイーンカップ 勝ち馬:リトルアマポーラ
12.6 - 11.0 - 11.7 - 12.3 - 12.6 - 11.4 - 11.7 - 12.2
12.6 - 23.6 - 35.3 - 47.6 - 60.2 - 71.6 - 83.3 - 95.5 (35.3-35.3)

直線入り口の12.6-11.4のハロン単位で1.2秒加速したのはデヴェロッペ。
これで押し切れたのであれば超強力な逃げ馬として強調できたが…。
また、これを差したのも馬場の外側から立ちまわれた馬でもあり、
結局の所ラップの一部分を切り取って云々する評価はしない方が良いと思う。

あくまでも、リトルアマポーラの余力十分の末脚が一枚抜けていたと評価する所までだけ。



−−−−−−

3.デヴェロッペ
 背丈があって首差しも長く体躯も大きい。腰高体型。
 四肢の繋が完全に立っていて遊びがないタイプ。新馬はダートを選択したのも頷ける。
 腰も落ち着いていて全体のバランスも整っている。良い状態を維持。

 重賞のレベルまで来て荒れたラチ沿いを通らざるを得ず、
 直線向かい風が強い中で展開を引っ張らなければいけない不利は大きい。
 その中で、テンのダッシュの確かさ・グッと緩めて逃げられる柔軟なスピードの使い方など
 信頼できる手持ちのカードはある馬なので、条件次第で十分見直せる。

5.カレイジャスミン
 細身で脚も長い馬だが、数字は増えても体が貧相で腰つきが未だに甘い。
 トモが後ろに残りすぎていて引き付けも遅い。
 この馬も四肢の繋が立っているだけに手先のバネが使えず、筋力で運べないと苦しい。

6.リトルアマポーラ
 腰高体型で手先がシャープ。脾腹もスッキリ絞れた。今回はキッチリ仕上げた格好。
 ただ当日の印象としては輸送で減ったのか作りすぎたかで絞りすぎに見える。
 本当はトモ幅ももっとあったし、動きにも奥行きがあったので。
 ひとまずは本気の仕上げと性能の高さを取っての中心視。

 しかし、結果的に今日の馬場状態・向かい風の中で1頭ズバ抜けた上がり34.4と言う数字は特筆モノ。
 府中でタメて差す適性の高さを見せたし、我慢強さでは大いに強調できる部分も見せた。
 総合スピードが問われる桜花賞は微妙に思うが、
 オークスに向けては輸送の克服・スタミナ&瞬発力の証明と非常に成果の多い内容だったと言える。
 馬体が減り続けるとまずいと思うが、本質的には体力が高くて大崩れしないタイプ。

7.マルターズオリジン
 冬毛はずっと残っていて大幅な上昇は特に感じなかったが、
 腰つきや背中が良くトモも確りしてる分をこのタフな状況を見て評価。素質もある馬だが。
 ただ馬そのものの上積みは少なかったし、まだ目立った良化が見られない現状なのが重賞で苦しい所。
 姿勢の良さはあるので、暖かい時期になってもう一度見直したい。

10.ラルケット
 母父サンデー。
 随分毛艶の良さが目立ち、状態はすこぶる良かった。落ち着きが非常に目立ち、集中力もある。
 窮屈だった部分が抜けてスマートな姿勢で立てているし、腰もかなり良化している。
 もっとカチコチに硬くて腰も弱い馬だと思って臨んでいたので、結構驚いた。
 2歳時の印象に比べて、目立った成長ぶりがあったということだろう。
 今日は大きくスピードを殺される日でもあったので、同じ程度の相手関係で軽い芝に替われば見直したい部分も。

11.シャランジュ
 前足がかなり短く、比較してかなり小柄。
 骨太体型で、馬体重に見合わず結構肉付きはまとも。
 しかしトモの動きがことさらぎこちなく、とにかく窮屈。
 背丈のない馬で動きが小さいと、総合力必須になる明け3歳以降はやはり評価しづらい。

12.スワンキーポーチ
 馬体に弾力はあるが、線の細さがまだ残っていて大きくトモが流れる歩様。
 新馬当初から全く腰に落ち着きがない。相変わらず歩くたびに姿勢が上下する。
 数字上の馬体減は特別影響は見られないので、これは中身が締まったものだろうが、
 脚力が弱いまま馬体センスだけで何とかするしかない現状は変わってない。

15.パッションローズ
 母父サンデー。
 骨太体型でまだ比較的肉付きも物足りない方だが、関節が強くてガッシリした形で筋力も十分。
 少し腰の落ちがあるが、トモの蹴りに伸びがあって弾力を感じるし、腹目も確りしている。
 パワー不足の関東馬の中に入れると完成度はともかく明らかに質の違う1頭に見えた。
 少し足並みが悪く、やや前足を開く格好をする。
 レースでもそのように四肢を外に開いて力任せに走るが、今日はそういうフットワークでも問題ない日。
 当日は基準オッズに比べてかなり過剰人気の気配があり、関西方面から買いが入ったのかも。


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