2008年03月07日

<レース展開>
 最近スタートまともだったアサカディフィートが今日は余裕のない出脚で、鞍上が押しても遅れる格好。
リザーブカードも上手くなく後方へ下がる。
マルカシェンクも完全にスタートの体勢は負けていた。
内からはプリサイスマシーン、レオエンペラー、コンゴウリキシオー、
外の方ではエイシンドーバーが好スタート。

プリサイスマシーンとコンゴウリキシオーが互いにやや押して競る形で1角へ。
その後ろをレオエンペラー、押してカンパニー、スムーズにロイヤルキャンサー、エイシンドーバー。
内側でやや折り合いを欠く格好になるチョウサン。
1角でエイシンドーバーが外を回る隊列上中団に控える形になるが、その他捲って動く馬はいない。

1角途中でほぼ隊列は決まる。
まずコンゴウリキシオーが先手を奪い、3馬身ほどリード。
その後ろはプリサイスマシーンに対しカンパニーが半馬身少々前に出る形。
やたら頭の高さが目立つレオエンペラー、その右後ろにチョウサン。
半馬身並んでロイヤルキャンサー、その外半馬身後ろにエイシンドーバー。そのすぐ後ろにトラストジュゲム。
ここまではやや縦長の隊列。それ以降は後方集団が固まり、
まず内側にエアシェイディ、中にマルカシェンク、外にリキッドノーツが並ぶ。
一つ後ろには外リザーブカードとグラスボンバー、
それに並ぶ形で引っ張ったヨイチサウスとアサカディフィート、最後方にジュレップが追走。
1頭−1頭−1頭−離れた後方一団という隊列で3角に向かう。

コンゴウリキシオーが飛ばしていたペースを少し緩めたタイミング(-12.3-12.2-)で、
後続集団が前の3頭に覆いかぶさってくる。
集団を先導するのは6番手の外側にいたエイシンドーバー。
それを見て2番手のカンパニー、3番手プリサイスマシーンも同時に動く。
残り400m、4角を回った時にはまだコンゴウリキシオーはリードを保っている。
後方から追撃する集団は4角を回る時には完全にバラけていて、直線入り口で大きく外へ膨れる。

直線に入るとコンゴウリキシオーの脚色に勢いがなく、坂下でもう馬群に飲み込まれている。
直線で抜け出したのは2番手のカンパニーと早くに動いたエイシンドーバー。
プリサイスマシーンは直線で伸びる勢いが完全に足りない。
その真横をマルカシェンクとその後ろからエアシェイディがパスして行く。
その後ろでリザーブカードが一瞬伸び掛かる格好。大外からアサカディフィートが遅れて良い脚色で伸びる。
その他の馬は完全に脚色一緒でほぼ横一線のまま。

坂上ではカンパニーとエイシンドーバーの一騎打ちに思えたが、
カンパニーがさらに追い縋ってたエイシンドーバーを突き離す。
その1馬身差まで迫ってたマルカシェンクもやや脚色が止まり、
それを遅れて差し込んできたエアシェイディがゴール寸前で交わして3着。
大外を追い込んできたアサカディフィートは少し離れた5番手まで。

道中〜4角までで位置取りを押し上げた馬はほんの数えるほどしかおらず、
4番手以降の後続集団も実質的には動くに動けないまま。
上がり1位のアサカディフィートは33.9の末脚を繰り出して脚を余した格好。
コンゴウリキシオーが自滅しただけのレースラップで、展開の影響はまるっきりなかったと言える。



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 4歳5歳の新興勢力世代の地力低下が激しいと言われてるだけはある。
今年は4歳馬の出走がダート路線のレオエンペラー、
5歳馬が条件戦上がりのリザーブカード、やっと復活してきたマルカシェンクの3頭だけ。
逆に何度も重賞戦線で顔を合わせてきた馬ばかりが今回も相見えてて、7歳以上の馬が半分以上を占めていた。
ほとんど実力の上限が見えている老馬同士で行われた重賞だったと言える。

 本来なら昨年G1で2着、海外帰りのコンゴウリキシオーが実力を見せてくれれば良かったのだが、
どうやら万全の体勢とも言えなかった中で自滅の競馬。
それほど展開にに影響を及ぼさないままに止まったので、
後続集団もそれほどペースUPせず隊列が膠着したままにレースが終わった。

■2008年中山記念 勝ち馬:カンパニー
12.6 - 11.5 - 12.0 - 11.8 - 11.8 - 12.3 - 12.2 - 11.5 - 11.6
12.6 - 24.1 - 36.1 - 47.9 - 59.7 - 72.0 - 84.2 - 95.7 - 107.3 (36.1-35.3)

■2007年中山記念 勝ち馬:ローエングリン
12.9 - 11.7 - 12.0 - 11.6 - 11.3 - 11.7 - 11.7 - 11.4 - 12.9
12.9 - 24.6 - 36.6 - 48.2 - 59.5 - 71.2 - 82.9 - 94.3 - 107.2 (36.6-36.0)

 比較として昨年、ローエングリンが勝った年のラップを並べたが、
当時8歳で不調を託っていて馬体もカツカツだったローエングリンですら
中盤で11.3を入れてずっと11秒台半ばを刻むロングスパート。
最後の12.9は本当に力を出し切ってバテる寸前だった内容で、
ローエングリンに付いて回った先行勢は全滅した。

 それに比べると今年のコンゴウリキシオーの逃げ方はあまりにも手ぬるい。
11秒前半に押し上げたラップが見られないままに単騎を作れて、(2番手の馬が全く攻めなかったため)
3角から最後の直線までは後続に差を詰められる一方+直線は全く抵抗せずにバテたことを考えると、
コンゴウリキシオーが1角過ぎで隊列を決めてからは全くペースアップが出来てない。

 しかも2番手のカンパニーもラスト2Fで11.5−11.6と余力十分の末脚を見せていながら、
全体走破時計は例年に比べても平凡な部類の1.47.3で決着。
5着のアサカディフィートから下の着順の馬は1分48秒台に入る。
いくら先の開催から中山の馬場が悪く時計が掛かっている傾向があるとは言え、
上位からやや離れて負けた多数の馬は例年に比べても低いレベルのレース内容だった。
ぶっちゃけ、想定外のスローに嵌められほとんどの馬がレースに参加しないまま終わったと言ってもいいほど。

 G1帰りの4歳馬サクラプレジデントが中山記念を圧勝した時は、レコードでの決着だった。
能力の上限を見せている老馬がまるで付いて行けないレース結果になれば、歴史が変わると言う意味で若い馬が台頭してくる。
逆に、今年のように脂が乗り切るどころか馬体が枯れ始めた馬ばかりが集まり、
イマイチ新味の持てない馬同士が集まれば、レース内容の平凡な決着になることもある程度予測できる。
そういった「時計平凡・内容平凡が予測できる状況」であれば、取り立てて馬体が充実している必要も絶好調である必要もなく、
今回のレースに対してのスタミナ適性さえあれば調子やデキの良し悪しを適性がある程度凌駕してくれるので
過去の中山記念好走馬を再度ピックアップする手法がストレートに結果に反映されやすい、
という構図があるものなのだろうと思う。

 2年前にダイワメジャーを不良馬場でブッ千切ったバランスオブゲームも、レース当日は霞んで見えるぐらい馬体が枯れていて見栄えが全くしなかった。昨年のローエングリンも同じく。
ある程度最低限動けるデキだと見れば、底力上位の馬を評価すべきレースでもあるし、適性から外れる馬が調子の良さや当日のデキで克服できるレースでもないらしい。


−−−−−−

1.プリサイスマシーン
 元は筋肉質の体型でムチムチして見せた馬だが、
 さすがに芝馬の重賞常連級と同じパドックに居合わせると見劣るようになってきた。
 馬体が緩いという表現は良くないかもしれないが、体が全体にのっぺりしてきた。
 さすがにこの惨敗を見れば短距離路線に戻すだろうが、
 フットワークの勢いの良さも見られなかったし、現状維持が精一杯の馬体だと今後は強調しづらい。

2.チョウサン
 今回は両前の蹄鉄に橋を渡している。
 馬体はフックラと見せている方だが筋肉の輪郭が甘く、
 歩様も痛いところがあるのか窮屈。周回中も全く落ち着きがない。
 毎日王冠どころか、その前のニューマーケットCを勝った頃と比べても気配がイマイチ。
 以前から、鉄砲ではそこまで良い成績は残せてない馬。

 レースでは道中折り合わせるのに精一杯と言った感じで、
 勝負所で有力他馬が動いても反応がイマイチ。4角では内ラチにこするシーンも。
 コースロスなく回ってきただけで、直線で追われても反応一息のまま。
 休養明け初戦だとしても、次への収穫が何も得られないレースだったと言える。

5.エアシェイディ
 冬場をずっと使い続けてきて、前走並みの馬体を維持できているだけでも偉い、という評価。
 筋肉が痩せた印象は見られず、幅を保てているし腰のブレもない。
 見栄えがする馬ではないが、この馬なりに順調といったところ。

 コンゴウリキシオーが他の馬と引っ張ってテンに忙しいレースになった分、
 この馬にとっては前半の反応の遅さが出て位置取りが悪くなった。
 距離短縮ローテが一つ裏目になった。
 ただ馬込みを縫って競馬が出来るし、小器用に立ち回れる脚力・捌きは健在。
 昨年はマイルの一線級とやらせてリズムを崩したが、むしろ距離は伸ばした方が味が出るのでは。
 また、スピードの出る開幕週の芝も不向きだと見る。

6.コンゴウリキシオー
 馬体は元から良いし筋肉量も落ちていないが、むしろムチムチしすぎて引き締めきれてない印象。
 この形でも走る系統でもあるし、以前さらに太めで走られたことがあるので評価を断定しづらかったが、
 結局はいつものように自分の持ちスピードのままにぶっ飛ばして息切れ。
 今回も休養明け初戦は中京記念当時と同じく叩きの捨てレースだったのだろう。
 ただ、馬体重が減っていたのに形が緩く見えたのは気掛かり。
 このパターンは「叩いて次走良くなる」とは飛びつけない。次走はパドック要注目。

 ※上でのラップ分析でも、コンゴウリキシオー「らしさ」が全く見られない逃げっぷり。
  余程の上積みがないと次走勝ち負けは疑問符が付く。

7.カンパニー
 ガリガリに見えた前走よりはまだマシだが、余裕を少し戻してやや太めの形。
 それでいて後肢の引き付けもゴツゴツし、全体の連動も一息。
 状態面は決して良い状態とは言いづらく、むしろ悪い方から数えて○番目と言う程度。
 これでも動いてしまった辺り、ベースの実力で上だったということと、
 ある程度緩い仕上げでも我慢できるタイプということなんだろう。

 とにかく今回は鞍上のファインプレーが光った。
 最小限の仕掛けで隊列の前に出した細かい重心移動だけではなく、
 向こう正面で2番手でペースを操舵し、後続を幻惑させた位置取り、
 そしてエイシンドーバーの動きにすぐタイミングを合わせて後の先を取る仕掛け。
 後方から勢い良く追撃してくる馬が58kgの馬しかいなかったことも奏功。
 次走はもっとまともな仕上げが望める上に、脚質の幅が広がった強みも。
 収穫の大きな1戦だったと言える。
 いつもの通り後方から行ってれば、全く違ったレース展開になったことだろう。

8.アサカディフィート
 良くもなく悪くもなくいつも通りといった仕上げで、とにかく馬体の無駄のなさが強調点。
 枯れた馬体だが順調そのものといったところ。
 しかし、1800mで多数のマイラーを含めた中でパドックを見比べると、
 四肢の運びのユルさや関節の硬さなど、さすがにスピード不足を感じた。

 今回も後方に決め打ちし、大外から自分の末脚を発揮して届かずの結果。
 常識的には1800mの重賞そのものが短い。
 このペースを差せるぐらいの地力があればもっと早くに出世している。

9.リキッドノーツ
 特に良くなったというほどではなく、あくまで前走並みの仕上がり。
 ただパーツはキッチリ決まっているし、手先の運びもスムーズで、
 取り立てて前走のダメージがあったような所はない。

 スタートもキチッと出てるし、道中ムダに外を回したような様子もなかったが、
 ピッチ走法で手先の硬い走りだけに、道中馬群の隙間隙間に入っていけない様子。
 今まで中山は多数の好走歴がある馬だが、
 小回りになる中山1800mは弱い相手に誤魔化して上手く乗って何とか勝てる、辺りがやっとなのかも。
 見直しするのは府中/中山のコース云々よりも常にペースが速く、コースの広いマイルで。

11.マルカシェンク
 パドックの中では一番気配を良く見せていたし、
 仕上がりも2走前の中山よりもかなり進んでいて筋肉のメリハリも上々。
 薄手の馬体だが、それでもしっかり仕上がった。腰も落ち着いていた。

 とにかく今回は出負けが痛恨。本来ならカンパニーと位置取りが逆だろう。
 それと全体の筋力よりもスピード性能で勝負するタイプだけに、
 中山そのものが大して得意ではないのかもしれない。
 後方から追い上げてきた脚色やフットワークの良さが際立っただけに、踏ん張りの甘さが対比的に目に付いた。
 根本的にそこまで強い馬でもない、と言われればそうかも知れない。

16.エイシンドーバー
 本質マイラーだが、ムッチリした筋肉量があり、むしろ中山でもという馬体だったので当日は高評価。
 腰の強さも目立ち、上々の張り艶で好仕上げ。
 近走の成績と開幕週の大外枠で人気はなかったが、馬自体が格上だった。

 後続集団から一番最初に強気に動いて、直線最後まで脚色衰えず。
 体力的にも上だったばかりではなく、脚の使い方が中山に合っている。
 京都金杯ではスローペースに末脚を殺された格好のようなので、
 人気が落ちていても底力勝負になれば巻き返せる、馬券的に使いでのある馬だろう。
 もう一度今年のマイル路線で期待してみたいが…。

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