2008年03月13日

 内のライムライトシチーが出負け。
あとはほぼ全馬が比較的良いスタートを切り、それに対してダイシンプランやオリエンタルロックはやや悪い体勢。
シングンリターンズ、テラノファントムの5〜8枠馬が内側のスズジュピター、テラノファントム6・7枠馬を挟み込む格好も、それほど大きな不利にはならず。
シングンリターンズ、ホッカイカンティ、キャプテントゥーレは好スタートから二の脚をすぐに伸ばして先手争い。
すぐにホッカイカンティが単独で先手を奪う形に持ち込む。

 スタンド前では、内枠各馬が位置取りを盛り返してくる。
2番手ポジションを奪ったのはマイネルチャールズ。
その外にも内枠のシングンリターンズが並ぶ。
4番手以降も内のミッキージェットとタケミカヅチが併走。
その外に併せたキャプテントゥーレは一つ下げて抑える格好に。
その後ろは集団に。

 まずタケミカヅチの真後ろにテラノファントム、その外にブラックシェル。内側にはスズジュピター。
オリエンタルロックもその3頭の外側から離されずに付いて回る。
一つ後ろからはダイシンプラン、アインラクス、ピエナエイムが追走。
またその後ろはラチ沿いにフサイチアソートが入り込み、ベンチャーナインが併走。
最後方に遅れたのはライムライトシチー。

 坂上の1〜2コーナーでペースは大きく緩む。(-12.8-12.9-)
特に先団の方でも集団の中でも隊列は変わらないまま向こう正面へ。
少しづつマイネルチャールズがホッカイカンティにプレッシャーを掛けるような仕草。
しかし、中団からも後方からも特に押し上げる様子はないまま。
結局、前の2頭に後ろから競り掛けるような動きもなく、残り3F標識を過ぎる。

 3コーナーでようやく後続の仕掛けが始まるが、先行集団の手綱はまだ動いていない。
ホッカイカンティとマイネルチャールズの後ろに、ミッキージェット、タケミカヅチ、シングンリターンズ。
外からキャプテントゥーレ。
3コーナーを過ぎてからシングンリターンズの手応えがかなり怪しくなり、
それを早々に交わして前に出るタケミカヅチとキャプテントゥーレ。
後ろからブラックシェルも接近。一つ遅れて手が動くオリエンタルロックと内側にテラノファントム。
それをさらに外から大きく動かざるを得ないアインラクスと大外ベンチャーナイン。
アインラクスはベンチャーナインに外を回る勢いで交わされ進路を塞がれた。
ダイシンプランはラチの内側で手がかなり動いている。
その後ろのフサイチアソートはまだ持ったままだが動きもせず。
もう4角手前で遅れ始めるピエナエイムとライムライトシチー。

 4角からスパートしたホッカイカンティとマイネルチャールズが直線に入って少し差を開く。
その後ろから勢いがあるのはタケミカヅチと外を併走しているキャプテントゥーレ、そして、その後ろのブラックシェル。
内側でミッキージェットは脚色がない。ロスなく捌いてスズジュピターが僅かに接近してくる構え。
ブラックシェルの後ろからはテラノファントムが接近。
その後ろから外目に勢いで遅れているオリエンタルロック、ベンチャーナイン、一番大外のアインラクス、
馬場の内側のダイシンプランは脚色で追いついてない。
ダイシンプランの後ろに居たフサイチアソートは頭を上げてモタれかかっている。まともに追えてない。

 坂上でホッカイカンティが潰れて一気にマイネルチャールズが先頭で抜け出した。
その後ろから一瞬タケミカヅチが追い縋ったが坂上で脚色がやや鈍った。
外から伸びてくるのはブラックシェル。
キャプテントゥーレはバテてはいないが速い脚が続かずジリジリの状態。
後ろから来ているテラノファントムは伸びてはいるが明らかに遅れている。
ブラックシェルがタケミカヅチをやっと交わし、マイネルチャールズに並ぶか並べないかといった所でゴール。
12月末のホープフルSでワンツーした2頭の再現となった。



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 著しく反則的な展開になったオーシャンSを含めずとも、
今開催の重賞レースは芝が悪すぎて前半のペースUPがまるで望めず、
道中ピッタリした隊列で一度息が落ち着いてからのコーナー加速勝負/短い直線勝負かになっている
模様。
今回の弥生賞も2コーナー辺りの1000m通過時点で61.8。
スタンド前で先行争いが特に行われず、そこで決まった隊列のまま3コーナー(残り3F)まで誰も動かず。
あるいは、今の中山のボコボコした状況では「動こうにも思い通りに動けない」と言った方が正しいのかも。


■2008年弥生賞 勝ち馬:マイネルチャールズ

12.2 - 11.5 - 12.4 - 12.8 - 12.9 - 12.5 - 12.3 - 11.7 - 11.3 - 12.2 (2.01.8)
12.2 - 23.7 - 36.1 - 48.9 - 61.8 - 74.3 - 86.6 - 98.3 - 109.6 - 121.8 (36.1-35.2)

 道中、後続からの揺さぶりは特にない展開。
前半に余裕を取って後半から徐々にペースアップしていくラップを見ても、
小回りチックな典型的なスローの上がり勝負。
その上、どの馬も直線で上がり34秒後半〜35秒フラットの同じような脚色。
明らかに後方待機組が脚を余して負けた形でもあるし、
先行馬がスローペースで後続を煙に巻いた展開だと言える。
取り立てて指数も伸びないし過去の世代と比べてレベルも低い方ではあるが、
クラシックシーズンにおいては、勝ち馬の中山適性や器用さは強調できる。

このレースの結果は、クラシックの展望を眺める材料としてではなく、
今開催の中山の芝中距離重賞が「底力勝負にならなさそうな馬場状態で行われそう」
といった推測のための材料として取り扱いたい。

今開催の中山は、人々の目に映るスタンド前だけは整備がまだまともな方で、
1コーナー過ぎから4コーナーまでのVTRでやっと確認できる範疇は
馬が通過するたびに砂が舞い全くペースアップが叶わないボコボコの状況。
京都の開催と同じく、まともなスピード競馬が望めないので、
重賞だとしても馬がどうの格がどうのといった次元をすっ飛ばした内容になるだろうし、
中山の荒れ馬場が得意な先行馬が優位に立つ位置取り競馬で決着しそう。


−−−−−−


ホープフルSのワンツーのまま今回の弥生賞が決着したということは、
ホープフルSのレベルが高かったのでそれに他の路線の馬が追いついていないか、
あるいは中山があまりにも特殊すぎるため、中山チックに脚を使える馬のアドバンテージが非常に大きすぎて
他の場所で勝った馬が中山だと大きく性能を落とすための相対的なものか、といった辺り。
ホープフルSの連対2頭ともに当時から成長力は見せているので、後者だと推測するのが妥当だろう。

今回の弥生賞で後方から差して脚を余した馬は確かに流れが向かなさ過ぎたのもあるにせよ、
流れを他人に任せっぱなしで道中自在に立ち回れない弱みがあるのは中山だと大きな不利になる。
せめて上がり3F比較でも勝ち馬と比べて0.7以上速い脚を使えてないと、
展開が向けばもしや…の可能性すらも及ばないだろう。

それにしても、ホープフルSでもこの弥生賞でも
外を回ってロスの大きい競馬をする分ブラックシェルの方が高いIDMを出すにも拘らず、
2度やって2度ともブラックシェルに先着しているマイネルチャールズは
中山は自分の庭、と言えるほどに立ち回り性能が高い。
馬の単体としての評価がそれほど上がらなくとも、十分モノサシ馬として扱えるはずだ。
本番皐月賞の前予想では、この馬より強調点のある馬でないと、
また本番皐月賞のパドックでは、この馬より強みを見せている良い馬でないと
実際の競馬で上位に来れそうにない。


−−−−−−

2.タケミカヅチ
 当日、柴田善臣→木幡初広に乗り替わり。
 馬体も前走から平行線で、腰つきも甘いままだったので能力上位の可能性は知りつつも特に評価はせず。
 ただ、これだけ好走を続けてて馬体が安定しているのは逆に強みかも知れないが。
 筋肉のメリハリも落ちる様子は全く見られないし、背中もピシッと緊張感を保てている。

 レースのスタートは少々モッサリするが、3歩目からの反応が良く隣のマイネルチャールズ並の二の脚を見せてた。
 結局内枠を上手く使い、絶好のハコ内を奪取することに成功。
 あれだけ後方から後手の競馬ばかりしていた馬がこういう競馬に変わってきたのは大きな進歩。
 実際に展開が荒れたとしても押さえて競馬をして差し込む脚はあるわけだし、距離に問題がないことも示した。
 馬体がもう少しパンとしてくると評価は上がってくるが、現状のままでも本番で上位に流れ込めはできるかも。
 相手が大きく入れ替わらない、と言う条件は付くが…。


3.マイネルチャールズ
 相変わらず腰は上下するし、長い繋も反発が弱くブラブラする感じが残るが、
 全身のバネが出てきて兄姉とは違って細身の馬体センスが出てきた。
 新馬の頃とは大きく馬体が変わってきた。
 一戦ごとに体の形がハッキリ細く変わってきて、それでいてレース内容は指数的にも伸びを見せてるので
 これはこういうタイプと言う評価でいいのかも。
 弾力のある馬体でいながら、線が細くフラフラしているのが強みであり弱み?

 先行馬不在の中で、中山記念のカンパニーよろしく、
 差し馬を駆って番手で逃げ馬と後続の間を掴みきり、流れをガッチリ仕切ってコントロールした鞍上の好騎乗。
 (これを仕掛けが早いとか言って非難してるのはかなり頭の悪い発言だろう)
 時計も掛かってるし内容も平凡な部類だが、世代最初の4勝馬だし、実力上位は間違いのないところ。
 今回のように、後続の瞬発力を削ぐ競馬ができるのも次走に向けて大きい。


6.スズジュピター
 歩様だけではなく体高がやけに窮屈で、全体に小ぢんまりしてしまった感。
 腰はキッチリ固まったし形は確りしてるが、全身の伸びが失せて硬くまとまってしまった。
 多少の発汗も目立つし、イレ込む寸前。初距離だというのにこれではかなり苦しいと見て無印。

 競馬でも射程圏ポジションにて全くロスなく追走していながら、
 3角過ぎから追い上げて行けてないし、直線でも先行勢と脚色が一緒。
 この距離がダメなわけではなくとも、同じ相手で上位に敵う・優勢な武器がないということだろう。
 マイル路線に戻った方がまだ良さそう。


7.フサイチアソート
 2歳時は全く見栄えがしない・手先も細すぎで体も窮屈な馬だったが、
 今日は全身の筋肉がちゃんとくっついて体の伸びの良さがあり、小柄な馬なのに姿勢の位置も高く良いデキで出てきた。
 まともな評価が出来る馬だったと思う。
 返し馬でも全身を大きく使ったバネのあるフットワークで、かなり弾ける印象があったが…。

 スタート直後に挟まれて少々怯んだか、やや遅れる位置取り。
 道中は器用に動ける馬でもなく、他馬の脱落を待つような位置取りで4角は内を回ったが、
 直線で追い出すととにかく頭が急に高くなり、半身で斜めになるような体勢。
 中山自体がそれほど合わないのかも知れないが、それにしても次走に見るべき点がないレースだった。
 パドック〜返し馬とかなり大丈夫そうな動きをしていたのに、レースでは自滅の内容。
 次走への評価がかなり難しくなってしまった。2走後の府中の巻き返しまで展望に入れたいが…。

8.テラノファントム
 薄身でバランスも良く、スッキリ仕上がる。まだ体躯で上回れるような所はなく、比較してやや細い。
 ただ見劣りは全くせず、もっと幅が盛り上がってくる余地はありそう。
 初戦で見せていた気性の悪さは影を潜めていて、ここの部分は成長を感じ取れた。

 スタートもビシッと決めたし、結果的にやや位置取りの悪い9番手からの差し遅れではあるが、
 体で負けてない所を見せたし、2000mでもバテるような場面は見られなかった。
 現状では単純な実力で上位に足りずとも、大健闘と言える内容。


9.ベンチャーナイン
 ハッキリ言って全く変わってない。
 全体のまとまりは維持しているが、トモの動きも鈍いし踏み込みが強くなっても逆にトモの流れ方が大きくなる。
 姿勢が後ろに崩れるような悪い格好もしている。

 展開が全く動いてくれず、3角から馬群の大外を無理して回らざるを得ない展開になり、4角でもかなり大外。
 直線バテているわけではないが、ロス分も大きく先団に間に合うような体勢にも持ち込めなかった。
 地力で足りない追い込み馬が全く展開に恵まれなかった形。
 成長力も見られないし、正直次走も苦しいだろう。

10.ダイシンプラン
 骨太で腰高体型。体躯は結構良くて、バランスはかなり良い。
 ただ使い込んでの疲労があるのか、毛艶がかなり冴えないし全身の動きがギスギスしていてぎこちない。
 四肢の運びも正直言って悪い。ヨロが細いのがいただけない。素質A&状態Cといった感じ。

 フットワークもかなり雑な面が見られ、勝負所のペースアップに早くも押し通し。
 まだOP以上のレースで耐えられる体力は足りなさそうだ。
 現状は体質がまだ弱く、輸送でいくらか落ちたのもあるかもしれない。

11.ホッカイカンティ
 肉質も姿勢も良く、馬体はハッキリ言ってかなり良い。
 単騎逃げに持ち込めて前半のペースも緩かったし、これで終いに粘れないようでは…。
 見栄えばかりで、中身の鍛錬が足りないのだろうか?
 いっそのこと、短距離馬かもしれない可能性まで見込んでおきたいが。

12.アインラクス
 薄身でスッキリ仕上がり、まずまず柔軟な作り。腰もそこそこまとまっている。
 現状まだ完成度で途上といった印象もあったし、薄身なのに体のメリハリや要所の厚さがない。格下。
 手の出し方や首使いの硬さから言っても、前駆のしなりがない。

 レースでは相変わらずの後方待機。ベンチャーナインとほとんど一緒の位置取りで、
 しかも4角では追い上げる勢いがベンチャーナインに見劣って4角進路を挟まれた。
 首使いが硬すぎて首が全く動かず、手先の力に頼ってばかりのフットワーク。
 この走りではいい脚がまるで長続きしないだろう。


13.ブラックシェル
 とにかく馬体は良い。筋肉質で背中のラインもキチッと決まっていて立ったときの姿勢が素直。
 力がちゃんと伝達できる体勢になっている。デキ自体もかなり良い。
 パドック開始時は横一線の単勝オッズだが、今回もパドック終了時にはブラックシェルが1番人気になる。
 
 以前のこの馬からすれば、中団の外9番手〜7番手ポジションというのは前出しした方か。
 それでずっと勝負所で馬群の外側を回り、内側有利の馬場状態にて一番確りした脚色で伸びてきた。
 サンデー産駒のように弾けるタイプではなくとも、姿勢の沈み込みが良くて本来安定感が高いタイプ。
 この馬こそ先行して押し切るのが本道だろう。
 気性の成長を得て、鞍上の指示に素直に従うようになれば…というところ。
 今年のメンツなら本番でも馬体上位に見せそう。
 ただ、ここ数戦指数面での伸びが鈍化しているのは気掛かり。

15.キャプテントゥーレ
 朝日杯の頃にかなり良い仕上がりだったので、それと比べると少々デキがイマイチ。
 僅かに冬毛も残り、皮膚感も腫れぼったく感じた。
 しかしそれでいながら姿勢が確りして背中も腰も良いしスピードがすぐ出せる体型の分、評価は入れた。

 少し隊列の悪い外5番手から外を回って徐々に押し上げて、終いはキレ負けしての流れ込みという地味な結果に終始。
 相変わらず追ってからの味は(路線の上位の差し馬に比べれば)全くないに等しいので、
 やはり先行してこそだろう。
 距離に問題ないことは見せたし、先行馬の中では少しロスのある競馬をしてのもの。
 実はこの馬も、本番で逃げてスムーズな競馬になれば怖い1頭でもある。
 デキが大幅に上がる余地を残しての4着というのは価値があるだけに。


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