2008年03月20日

【京介のレース回顧】 中山牝馬S

 ダンスオールナイトとマルノマンハッタンが大きく出負け。
その他の馬はほとんどが比較的良いスタート。
外の方でヤマニンアラバスタ、内ではハロースピードとマイネカンナが毎度の通り後方へ下がる。
横に広がるスタンド前の先行争いの中からは、
まずヤマニンメルベイユが先頭に抜けかかった所を外からイクスキューズが二の脚良く競ってくる。
そのすぐ真後ろに4頭、
外からニシノマナムスメ・シェルズレイ・レインダンス・ニホンピロシェリーが併走状態。
(1角で少しばかりニシノマナムスメは外を回る形でやや隊列が後ろに。)
内から来ていたハロースピードとタイキマドレーヌはその4頭の真後ろに回る。
先団がごった返す後ろに少し間が開き、そこにアルコセニョーラとエリモファイナルの白い帽子2頭。
隊列が凹んだその隙を見て内側に潜っていく大外コスモマーベラス。
その後ろに内ハロースピードと外マイネカンナ、もう一つ後ろから内ダンスオールナイトと外マルノマンハッタン、
またそこから数馬身離れた最後方にヤマニンアラバスタ。
後方は縦に伸びつつ、先団は位置取りを争いややごった返す前半。

 2角を過ぎる前ぐらいで隊列がスッと決まる。
まず単独でエクスキューズが先頭、少し離れてヤマニンメルベイユ。
3番手にレインダンス、その真後ろにニホンピロシェリー。シェルズレイはその後ろの5番手。
先団はほとんど1-1-1-1の並び。向こう正面でもほぼこの隊列は崩れず。
続いてタイキマドレーヌとニシノマナムスメが並んで追走。
その後ろに内側キストゥヘヴン、中にエリモファイナル、その外に並ぶコスモマーベラス。
3頭の後ろにアルコセニョーラ、マイネカンナ、ハロースピードが付いていく。
離れた後方にダンスオールナイトとマルノマンハッタン、また離された最後方にヤマニンアラバスタ。
この隊列がずっと変わらないまま3コーナーへ進み、
そしてそれが少し凝縮したぐらいで大きく隊列が変わることなく4コーナーを回る格好に。
比較的先団の馬も手は動いているが、差し馬はその外を回らざるを得ず少し馬群が外に膨れ始める。

 直線入り口で前の2頭が後続を引き離す。
イクスキューズが一旦最後のスパートで出るかと思いきや、
坂に差し掛かりヤマニンメルベイユに並びかけられるとまるで気が抜けたように急失速。
対照的に渋太く二枚腰で伸びていくヤマニンメルベイユ。
3馬身後ろから接近するのは中からニシノマナムスメと外から動いていたコスモマーベラス。
内側のタイキマドレーヌは伸びかかっているが体勢が悪い。
その後ろのバテた先行勢と伸びてくる差し馬勢とでゴチャつく集団からは、
内目で伸びかかるダンスオールナイト、馬群を何とか捌いてやっとエンジンの掛かったキストゥヘヴン、
そしてかなり大外を回って勢いが付いてきたハロースピードとそれに併せて一番大外のマイネカンナ。

 直線坂上ではもうほとんど後続とのリードを確保したかというヤマニンメルベイユ。
コスモマーベラスは坂上で早々に勢いが鈍った。
ニシノマナムスメもヤマニンメルベイユとの3馬身差が詰まらない脚色。
内に突っ込んだダンスオールナイトは坂上で伸びが中途半端になる。
比較的外側からジリジリ脚色を伸ばすキストゥヘヴンと、一番外から全然違う脚色で伸びてくるマイネカンナ。
マイネカンナが坂上に入ってさらにもう一伸び加速し、ヤマニンメルベイユに猛追。
しかしゴール板にギリギリ先に間に合ったのは最後の粘りを発揮したヤマニンメルベイユ。
マイネカンナはかなり惜しい2着。
離れた3着争いにキストゥヘヴンが入り、内は一杯一杯のニシノマナムスメと、
外でジリジリと止まってないが差す勢いの鈍いハロースピード、中で脚色が鈍いコスモマーベラスが入線。
ダンスオールナイトは上位には迫ったが交わすほどの勢いは見られず7着。

道中の展開の中で位置取りを大幅に押し上げた馬は少なく、
また馬場が荒れているにせよ全体時計も比較的平凡な部類。
後続を離してワンツーした2頭はそれぞれ過去に重賞連対実績のない53kg・51kgの軽ハンデ馬で、
ほぼスローで道中全く動かず、上がり勝負の適性で決まったレース。

<レース結果>


 どの馬も荒れた馬場で単純に前に進むだけでも苦労していて、
相変わらず中山の重賞:オープンクラスはスタンド前と直線でしか競馬が動いておらず
(毎週ある程度馬場の補正を入れる場所)
道中の押し上げ・捲りなどが一切行われない。先行馬も逃げ馬に並びかけていくシーンが少ない。
その中で、中山の重賞は相変わらず道中お見合い→結局前残りの決着が続いている。

■2008年中山牝馬ステークス 勝ち馬:ヤマニンメルベイユ
12.2 - 11.6 - 12.4 - 12.3 - 12.3 - 11.8 - 11.8 - 11.5 - 12.5 (1.48.4)
12.2 - 23.8 - 36.2 - 48.5 - 60.8 - 72.6 - 84.4 - 95.9 - 108.4 (36.2-35.8)
直線の入り口までのラップはイクスキューズが刻み、残りの2Fはヤマニンメルベイユが先頭。
前に行った馬が残る決着ではあったが、最後11.5→12.5と1秒もラップが落ち込んでいて、
これが例年の中山牝馬Sでは見られない特徴。
本来の上がりの競馬ではこうまで加速が鈍った馬は差され役のはずで、
大抵はゴール寸前で隊列が一変するものだが、
ヤマニンメルベイユが先頭に立って出し抜くタイミングが抜群に良かったのか、
あるいはそもそも3〜4角に比べて直線半ば(坂上)の荒れ方が余程に酷いのか、
レースは比較的大して厳しくもないのに、瞬発力でズバ抜けた馬もおらず
ほとんど勝った先行馬のための展開になったものと考えられる。

加速勝負で強い馬もコーナーでペースが上がっているため
コーナーワークで脚を使わされる形になりほとんど末脚を殺される格好。
スローからの上がりの競馬ではあるが、
いかにもなハンデ戦向きの馬が作った展開で、勝ち馬は本質的にスローペース向きの馬ではないタイプだと考えたい。
どのみち、今年の特殊な中山に合っていたタイプが勝ち負けした特殊な構図で、
なかなか先に繋がる要素を見出せないレースだったと言う判断。

今回負けた馬は、今回負けた結果を踏まえて次を考えるのではなく、
今回負けた結果をデキや馬場・中山合わずの要素から考え直して次を考えたい。


−−−−−−

・正直、パドックで馬を選ぶのはかなり難しかった。
 本質的に中山らしいタイプやハンデ以上の実力を見せそうなしっかりした馬もおらず、
 ここからG3〜G2なら力上位だろうと言える馬もいなかった。
 どう転んでもおかしくないレースだったと言うのが正直なところ。
 結果を見てもほとんど中山のトラックバイアスなりの決着だったのではないか。


1.アルコセニョーラ
 元から細身の馬で、馬体減はあったが筋肉は落ちておらず腰の位置も確りしていて好仕上がりの部類に見えた。
 意図して瞬発力のありそうなタイプを探し、ある程度上位の力もありそうという中の1頭。
 次走にも繋がる出来だとも思ったので。
 それにしてもコーナーワークで体の硬さが目立ち、直線での遅れ方も拍子抜けだったと言うのが正直な所。
 体力やスタミナはG3でもそこそこ上位のモノがあると思うが、
 単純に上がりだけが速い決着でそれほど強くはなく、また中山の坂で結構苦労している様子も伺えた。
 平坦の方が良さそうかも。

2.エリモファイナル
 関東に遠征するたびに馬体を減らしている印象。
 特に今回は大幅馬体減どおりの皮膚感の寂れ方をしていてかなり持ち直さないと苦しい印象。
 もちろんスローの上がり勝負も不向きだが、展開がどうだったという話以前に。

3.キストゥヘヴン
 骨太ながら細身で、昨年から幅が増えたとかそういうことはなさそう。
 歩くたびに腰の上下が激しい馬で、まだ全身運動できる分だけ現状は体を支えられている。
 この馬なりに状態は良く、皮膚感や肉付きだけなら昨年同レースと比べたら結構持ち直してる印象。
 肩幅自体は広く胴回りの容量はあるので、
 もっと肩の出が良くなり前後の伸縮が明らかに伸びているという状態になれば。
 斤量を考えれば後方から差し込んで一番強い競馬をしたのはこの馬。

4.ハロースピード
 420kg台の馬体ではあるが、このパドックに入れても比較的背は高い。胴短脚長。
 大してこの冬を越えてから劇的に何か良くなったような様子はなく、正直前走並み。
 競馬ぶりも相変わらずの後方から大外一気ばかりだし、自分の実力を堅実に発揮している分だけ。
 坂上で遅れて伸びているように、コーナーが終わるまで勢いに乗せることが出来ず、
 中山だとトップスピードにまで乗せられてない。
 小回り不向きで広いコースで見直し。

5.マイネカンナ
 前走の初音Sでは随分寂れて張りも案外な様子で、それそのままの結果だったが、
 今日は余裕を戻したことでトモの張りが出て、前後のバランスが取れて結構見れる馬体に戻っていた。
 (-2kgでも見た目の印象は随分良かった)
 結構人気馬の評価を下げているだけに、もっとこの馬の評価を上げても良かった。
 体高もない上にかなり手先が細く、すぐ馬体も寂れてしまうだけに、
 大幅な上積みやこれから先の展望も望みづらいので、
 こういうタイミングでピンポイントで馬券にしたいタイプだ。
 基本的には、体の厚みがなく体力で劣るので、道中無理せずに追走できるペースの方が合う。

6.タイキマドレーヌ
 小柄で細身。体の伸びはそれなりに感じられて、張り艶も良かった1頭。
 もちろん性能面では限界があるにせよ、ここまで相手が落ちれば見劣りはしなかったが…。
 腰が決まりきらずに馬体減が続いているのを悪い材料と見るべきだったか。
 450kg台まで馬体が増えていた昨年の夏ごろが絶好調だった。現状冬場は苦しそう。

7.ニホンピロシェリー
 発汗がかなり目立ち、脾腹が随分寂れて見えたし背中の筋肉も細くなってしまった。
 輸送負けと見る。今回はデキで明らかに見劣りし、ローズS5着の頃の状態ではなかったのだろう。

8.レインダンス
 腹目がボテッとして牝馬としては明らかに余裕のある馬体だったが、
 背腰は確りしていて体躯も明らかに上位だし、そこそこ動けるだろうという判断。
 返し馬でもピッチ走法ながらスピード感のある動きをし、見た目には明らかに上の馬だろうと思ったが…。
 大して息苦しいほどのペースでもないし勝った馬が目の前にいる位置を追走していて、
 直線では早々に息切れをしての脱落。
 この馬も今回出走していた一連の4歳夏馬タイプと同じく、
 状態の変動で著しく成績の上下があるタイプだろうか?

9.ヤマニンメルベイユ
 レインダンスと並んで今回の出走馬の中では骨太体型で中山に必要な体躯も十分だろうと言える480kg台。
 出来は前走並みの平行線。張りはまずまずで、絞込み過ぎず比較的ユッタリした作り。
 膝から下の出が悪いし、トモの踏み込んでからの反発が甘く大して瞬発力も感じられない印象があったので
 どうしても点数打つのを戸惑ってしまった。
 結果的には同じ位置にいたレインダンスが全く競馬をしなかったし
 同脚質のはずのレインダンスも控える競馬をしたことで明らかに展開がダントツ有利に。
 昨年3着に好走した舞台で53kgをもらえるのであれば上位評価をしても良かった。
 先の10Rで同じメジロマックイーン×母父サンデーの仔が圧勝しており、荒れた中山の馬場も向いていた。
 これ以上の条件はさすがに望み薄だけに、もう一回りしてどこかのハンデ戦で狙い直したい、そんな馬。

10.ダンスオールナイト
 薄身で手先もシャープな腰高体型。
 前走の初音Sでは本命を打てるデキだったが、今日は腹目も緩いし明らかに余裕残し。
 重心も高すぎるタイプなので下り坂で勢いをつけなければいけない中山も向いてない。
 ある程度次走に繋げる内容を見せただけでも評価したい。

12.シェルズレイ
 これも比較的パワーのある骨太体型で、今日は全体にバランスも整いスッキリ見せていた。
 腰も決まっているし、気配もピタッと落ち着いていてかなりデキは良かったように思う。
 (パドック開始時から単勝オッズも下がる一方だったような…)
 結局は控える競馬がまだ実にならないまま自滅しただけの競馬になってしまった。
 縦の成績からは全く見るべき所がなく、パドックで馬を見る人間だけが評価を上げているだけの現状なのかも?
 アテにならないレースばかりが続いていて、その内容からは良くなりそうな片鱗すら見当たらない。
 全くレースで消耗しておらず、デキは本当にずっと良いのだが…。

14.ニシノマナムスメ
 小柄ではあるがバランスも良く体にしなやかさがあって馬がまだ痛んでない。
 バネがあるので踏みしなの弾力性もあるし、それでいてパーツは太くないので全体の動きは本当に素軽い。
 歩様を見るといかにも良いと評価されやすいタイプ。
 ただそういう仕上げ易いパーツをしてるだけに、
 パワーがもう一つだし骨組みも緩いままで来てしまっている。大きな弱点ではないが…。
 レースでも実力なりの差し脚は見せたが、結局の所55kgが重たすぎた。
 人気過剰になりがちの馬だけに、今後の評価は微妙だが、G3をいつでも勝ち負けできる実力はあろうと思う。

15.イクスキューズ
 腹目にもトモにも余分な厚みが残っている分、筋肉や皮膚の作りに明らかに亀裂が入っていて
 トモも片足を引きずるような感じで歩いている状態。全身の動きも明らかにぎこちない。
 この厩舎としては予想外の太め。当日は無印。
 早熟・仕上がり早でならしていた馬だけに4歳過ぎてこういうデキを見せたのは、もう衰えの始まりか?
 レースでも良いペースで緩めて逃げられたにも拘らず、
 坂下でヤマニンメルベイユに並ばれた時点でフットワークが鈍った。
 坂を駆け上がる所まで余力が残ってなかった。
 今後はかなり苦しいと見る。

16.コスモマーベラス
 引退レースだし、今年は比較的暖かい週末を迎えて仕上げにも気合いが入ってるのかと思いきや
 腰の落ち込みが激しく数字は大きく減っているのに体は分厚く太目丸出し。
 毛艶は元から良い方ではないが、2走前の中山時からしても落ち込んでいる。
 状態が衰える一方の中での出走だったのだろう。
 個人的には、この斤量背負って3着争いの一角に紛れ込んだ所まで持ち込んだだけでも偉いと言う感想。


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keiba100bai at 22:37  この記事をクリップ!
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